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税務Q&A

■税務Q&A
◎医療法人の出資持分の評価(2005年8月31日)
病院の医療法人の出資持分の評価はどのように行うのですか、概要を教えて下さい。

◆ ◇ ◆ ポイント ◆ ◇ ◆
  1. 社団医療法人の出資持分の評価についてはその規模に応じて評価方法が定められていますが、病院の場合は、大会社ないし中会社に区分されることが多いといえます。
  2. 中会社に相当する医療法人の評価方法は、「類似業種比準方式と純資産価額方式との併用方式」によりますが、類似業種比準価額について純資産価額を選択することもできます。


1.医療法人の出資の評価方法の概要

 I. 医療法人の規模の判定と規模別の出資の評価方法
社団医療法人の出資持分の評価は、取引相場のない株式の原則的評価方法に準じて計算しますが、医療法人の規模に応じてその評価方法が定められており、規模の判定は、従業員が100人以上の場合はすべて「大会社」になり、100人未満の場合は下記の表の区分(「小売・サービス業」の基準による)により行います。
総資産価額
(帳簿価額)
及び従業員数
取引金額
6千万円未満 6千万円以上
〜6億円未満
6億円以上
〜12億円未満
12億円以上
〜20億円未満
20億円以上
4千万円未満
又は5人以下
小会社 中会社「小」
(L=0.60)
中会社「中」
(L=0.75)
中会社「大」
(L=0.90)
大会社
4千万円以上
5人以下を除く
中会社「小」
(L=0.60)
中会社「小」
(L=0.60)
中会社「中」
(L=0.75)
中会社「大」
(L=0.90)
大会社
4億円以上
30人以下を除く
中会社「中」
(L=0.75)
中会社「中」
(L=0.75)
中会社「中」
(L=0.75)
中会社「大」
(L=0.90)
大会社
7億円以上
50人以下を除く
中会社「大」
(L=0.90)
中会社「大」
(L=0.90)
中会社「大」
(L=0.90)
中会社「大」
(L=0.90)
大会社
10億円以上
50人以下を除く
大会社 大会社 大会社 大会社 大会社

評価方法は、規模に応じて下記のとおり定められ、中会社に相当する医療法人については、「類似業種比準方式と純資産価額方式との併用方式」で評価されますが、類似業種比準価額について純資産価額を選択することもできますので、いずれか低い金額となります。
・大会社に相当する医療法人
類似業種比準価額方式(純資産価額方式との選択可)
・中会社に相当する医療法人
類似業種比準価額方式と純資産価額方式との併用方式
(類似業種比準価額について純資産価額を選択可)
・小会社に相当する医療法人
純資産価額方式(中会社と同じ併用方式も選択可。その場合「L=0.5」。)
  1. 類似業種比準価額方式による評価

    A× ( c÷C × 3 + d÷D ) ÷ 4 × 斟酌率

     A:類似業種の株価(「その他の産業」を適用)
     C:類似業種の利益金額
     D:類似業種の純資産価額
     c:医療法人の利益金額
     d:医療法人の純資産価額
    斟酌率
    大会社:0.7、中会社:0.6、小会社:0.5

  2. 純資産価額方式による評価

    総資産価額
    (相続税評価額)
    負債の合計
    (相続税評価額)
    評価差額に対する
    法人税等相当額

    課税時期における出資口数
    「評価差額(清算所得)に対する法人税等相当額」の計算は、以下の通り。
    課税時期における
    相続税評価額ベースの純資産価額
    課税時期における
    簿価ベースの純資産価額
    × 42%

 II. 類似業種比準方式による評価算式の数値
  1. c(1口(50円)当たりの年利益金額)の金額の計算
    法人税申告書別表四「所得の金額の計算に関する明細書」の課税所得金額から固定資産売却益のような非経常的な利益金額を控除し、損金算入した繰越欠損金等を加算して差引利益金額を求めます。「直前期の差引利益金額」と「直前期及び直前々期の差引利益金額の平均額」とのいずれか低い金額を1口当たりの出資金の額を50円とした場合の出資口数で除して求めます。
  2. d(1口(50円)当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額))の金額の計算
    直前期末における出資金額、利益積立金額等から求めますが、利益積立金額は、別表五(一)「利益積立金額の計算に関する明細書」の「差引合計額の5」の金額です。
  3. 比準割合及びその平均の算出
    分母のC、Dは、「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の通達で定められています(国税庁ホームページや税務署で確認することができます)。
  4. A(類似業種の株価)
    課税時期の属する月、その前月、その前々月の平均株価と前年平均株価のうち最も低いものを選択

2.「中会社の小」の規模に該当する病院の場合の出資評価事例
【設例】
◎評価する社団医療法人の状況
  1. 出資金:1,500千円(出資50円当りの出資口数:300,000口)
  2. 直前期の年間収入:200,000千円
  3. 直前期末の総資産価額:300,000千円
  4. 従業員数:20人
  5. 直前期の年間利益:15,000千円
  6. 直前期の利益積立金額:75,000千円
  7. 課税期間における純資産価額
      総資産価額 負債金額 純資産価額
    相続税評価額 380,000千円 180,000千円 200,000千円
    帳簿価額 300,000千円 180,000千円 120,000千円

【計算】
  1. 医療法人の規模の判定
     ・取引金額:60,000千円 ≦ 200,000千円 < 600,000千円
     ・総資産価額:40,000千円 ≦ 300,000千円 < 400,000千円
     ・従業員:5人 < 20人 ≦ 30人
    よって「中会社の小」に該当しますので、「類似業種比準価額×0.60+純資産価額×(1-0.60)」又は「純資産価額」のうちいずれか低い金額になります。

  2. 類似業種比準価額方式の計算
    1. 類似業種の株価等(国税庁より発表)
      業種目 番号 配当
      金額
      (B)
      利益
      金額
      (C)
      薄価純
      資産価額
      (D)
      株価(A)
      H16年
      平均
      H17年
      2月分
      H17年
      3月分
      H17年
      4月分
      その他の産業 118 4.0 27 278 383 415 428 425

    2. 出資1口当たりの年利益金額
      15,000千円 ÷ 300,000口 = 50円

    3. 出資1口当たりの純資産価額
      ( 15,000千円 + 75,000千円 )÷ 300,000口 = 300円

    4. 類似業種比準価額
      株価は課税月、その前月、その前々月の平均株価と前年1年間の平均株価のうち最も低い価額を選択できます。
      383 ×(50 ÷ 27 × 3 + 300 ÷ 278)÷ 4 × 0.6 = 379.1円

  3. 純資産価額方式の計算
    380,000千円 180,000千円 33,600千円  =  554円

    300,000口
    評価差額に対する法人税等相当額
      {(380,000千円−180,000千円)−(300,000千円−180,000千円)}×42%=33,600千円


  4. 併用方式による相続税評価額
    379.1円(類似業種比準価額)× 0.60 + 554円(純資産価額)×( 1 - 0.60 )= 448円

  5. 類似業種比準方式との併用方式による評価額は448円
    純資産価額による評価額は554円
     → よって評価額はいずれか低い方の金額448円となります。

(株式会社ムトウ コンサルティング事業部 税理士 宮下)
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