◆ ◇ ◆ ポイント ◆ ◇ ◆
- 小規模宅地等の特例と特定事業用資産の特例は、事業承継税制として、いずれか一方の選択を原則とし、限度いっぱい適用した場合は他方の特例は適用できませんが、一方で上限に満たない場合は併用が可能で、満たない部分の割合を上限として他方の特例の適用ができます。
- どちらを優先して適用するかについては、事業用宅地の面積と単価、出資金の評価額等により有利・不利が出ますので、具体的に計算して比較検討し、有利な方を選択するようにします。
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1.小規模宅地等の特例と特定事業用資産(特定同族会社出資)の特例の併用のあらまし
平成15年度の税制改正において、それまで選択適用しかできなかった小規模宅地等の特例と特定事業用資産の特例の併用が可能になりました。小規模宅地等の特例には選択面積に限度面積があり、また特定同族会社出資については減額対象金額の限度があります。
そこで、納税者が選択した小規模宅地等及び特定同族会社出資がこれらの限度面積や金額に満たない場合において、その満たない範囲内で他の特例対象資産の減額を認めることとされています。
- 特定同族会社出資に限度金額の適用不足があり、これを小規模宅地等に適用する場合
- 小規模宅地等に限度面積の適用不足があり、これを特定同族会社出資に適用する場合
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× |
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− |
【特定事業用等面積】
or【特定居住用面積 × 5/3】
or【特定特例対象面積 × 2】
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特定同族会社出資の特例(L)は、相続開始時の医療法人の出資総数の3分の2に相当する金額か、10億円のいずれか低い金額を限度としますので、出資金総額が例えば9千万円の場合、6千万円が上限となり、それ以上取得すると特定同族会社出資の特例対象は6千万円となり、かつ、小規模宅地等の特例に回す枠空きはゼロとなります。
2.特定事業用資産の特例と小規模宅地等の特例の併用計算例
医療法人社団○○会の理事長の死亡により、後継者である相続人が被相続人の出資金及びクリニックの敷地を相続し、両特例を併用して受ける場合
- 出資金:1,000万円(出資口数:200,000口)
出資金の相続税評価額:4億2,000万円(出資1口当たりの評価額:2,100円)
理事長は出資総額の50%(2億1,000万円)を所有(特定同族会社出資)
- 医療法人が運営するクリニックの敷地(特定同族会社事業用宅地等):300m2
相続税評価額:1億5,000万円(1m2当たり評価額:50万円)
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◎特定事業用資産(特定同族会社出資)の特例を優先して適用した場合
- 特定事業用資産の特例の適用
- 特定同族会社出資について減額される金額
4億2,000万円 × 2/3 = 2億8,000万円(< 10億円)
2億1,000万円 < 2億8,000万円
→ 2億1,000万円 × 10% = 2,100万円
- 相続税の課税価格に算入する価額
2億1,000万円 − 2,100万円 = 1億8,900万円・・・(1)
- 小規模宅地等の特例の適用
- 適用割合
| 2億8,000万円 − 2億1,000万円 |
= 0.25 |
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| 2億8,000万円 |
- 小規模宅地等について減額される金額
400m2(適用上限)× 0.25 = 100m2
1億5,000万円 × 100m2 ÷ 300m2 × 80% = 4,000万円
- 相続税の課税価格に算入する価額
1億5,000万円 − 4,000万円 = 1億1,000万円・・・(2)
- 課税価格算入額の合計
(1)+(2)= 2億9,900万円
◎小規模宅地等の特例を優先して適用した場合
- 小規模宅地等の特例の適用
- 小規模宅地等について減額される金額
1億5,000万円 × 300m2 ÷ 300m2 × 80% = 1億2,000万円
- 相続税の課税価格に算入する価額
1億5,000万円 − 1億2,000万円 = 3,000万円・・・(1)
- 特定事業用資産の特例の適用
- 適用割合
| 400m2(適用上限) − 300m2(適用面積) |
= 0.25 |
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| 400m2 |
- 特定事業用資産について減額される金額
2億8,000万円(適用上限)× 0.25 = 7,000万円(< 2億1,000万円)
7,000万円 × 10% = 700万円
- 相続税の課税価格に算入する価額
2億1,000万円 − 700万円 = 2億300万円・・・(2)
- 課税価格算入額の合計
(1)+(2)= 2億3,300万円
よって、この計算例では小規模宅地等の特例を優先して適用した場合の方が有利です。
(株式会社ムトウ コンサルティング事業部 税理士 宮下)
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