◆ ◇ ◆ ポイント ◆ ◇ ◆
- 医療法人の出資持分を相続した場合の評価の減額特例は、出資持分の時価総額が20億円未満の医療法人について、出資総数の3分の2以下の部分につき10億円を限度に、相続した出資持分の相続税の課税価格を10%減額するものです。
- 事業承継税制の一方の柱である小規模宅地の特例といずれか一方の選択を原則とし、限度いっぱい適用した場合は他方の特例は適用できませんが、一方で上限に満たない場合は併用も可能で、特定同族会社株式等の特例を優先して適用する場合、相続した出資持分が医療法人の出資総数の3分の2又は10億円のいずれか低い金額に満たない場合、満たない範囲内で小規模宅地の特例が適用できます。
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1.「特定事業用資産についての相続税の課税価格の計算の特例」(措法69条の5)の概要
- 特例のあらまし及び特定同族会社株式等について
平成14年度税制改正で創設された特定事業用資産の特例(いわゆる自社株減額特例)は、平成15・16年度の税制改正で軽減対象の上限が拡充されており、小規模宅地の特例とともに事業承継の円滑化支援税制として位置づけられています。
「特定事業用資産の特例」は、特定事業用資産相続人等が、相続又は遺贈により取引相場のない(かつ議決権の制限がない)株式又は出資を取得し、相続税の申告期限まで引き続きそのすべてを有している場合に、この制度を選択した者は、発行済株式総数又は出資の合計額の3分の2に達するまでの部分に相当する金額については、次の要件を満たす場合(「特定同族会社株式等」といいます)に限り、10億円を限度として、その相続税の課税価格を10%減額するというものです。
- 相続開始の直前における当該法人の発行済株式又は出資の時価総額(相続税評価額)が20億円未満であること
(その法人の発行済株式総数又は出資口数の総数 × 相続開始の時の1株又は1口当たりの時価)
- 相続開始の直前及び相続開始の時に、被相続人及び被相続人の親族その他被相続人と特別の関係がある者が有していた株式の総数又は出資の合計額が、当該株式又は出資に係る法人の発行済株式総数又は出資の合計額の2分の1を超えること
なお、小規模宅地の特例の適用を受ける場合には、原則としてこの特例の適用は受けられませんが、限度未満の場合には併用することが可能です。
- 特定事業用資産相続人等(特例の適用を受けられる人)の要件
- 特定同族会社株式又は出資を相続又は遺贈により取得した者が被相続人の親族であること
- 相続税の申告期限を経過する時にその法人の役員であること
- 相続開始の時において、特定同族会社株式等に係る法人の発行済株式総数又は出資の合計額の5%以上の株式又は出資を有していること
- 特定事業用資産の特例の計算例
クリニックの医療法人社団○○会の理事長の死亡により、後継者である相続人が被相続人の出資金を相続し、この特例の適用を受けた場合。
- 出資金:1,000万円(出資口数200,000口)
- 出資金の相続税評価額:4億2,000万円(出資1口当たりの評価額2,100円)
- 理事長は出資総額の80%(3億3,600万円)を所有していた
- ■特定同族会社株式等について減額される金額
- 4億2,000万円 × 2 / 3 = 2億8,000万円
10億円 > 3億3,600万円 > 2億8,000万円 ∴ 2億8,000万円
2億8,000万円 × 10% = 2,800万円
- ■課税価格算入額
- 3億3,600万円 − 2,800万円 = 3億800万円
2.10%軽減特例の可否判定フローチャート
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医療法人の出資持分の時価総額(相続税評価額)は20億円未満ですか?
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NO → |
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| ↓ YES |
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相続開始時に、被相続人及びその親族等が医療法人の出資持分総数の2分の1超を保有していましたか?
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NO → |
| ↓ YES |
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相続開始時に法人の5%以上の出資を有していた相続人等が、相続税の申告期限まで、引続き被相続人の出資持分を所有し、かつ、役員として医療法人の経営に従事していましたか?
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NO → |
| ↓ YES |
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小規模宅地等の減額特例を限度額まで適用していないですか?
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NO → |
| ↓ YES |
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出資総数の3分の2以下の部分(10億円を限度)について課税価格を10%減額
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3.特例の適用を受けるための手続き
- この特例の対象となる資産又は「小規模宅地の特例」の対象となり得る宅地等を取得した相続人等が2人以上いる場合には、この特例の適用を受けようとする資産の選択についてその全員の同意が必要です。
- この特例の適用を受けるためには、原則として、相続税の申告期限までに特定同族会社株式等である特定事業用資産が分割されていることが必要です(ただし、相続税の申告期限後3年以内に財産が分割された場合等には、遺産分割が行われた日の翌日から4か月以内に更正の請求書を提出することにより、この特例の適用を受けることができます。)
- 相続税の申告書には、付表「特定同族会社株式等又は特定受贈同族会社株式等である選択特定事業用資産についての課税価格の計算明細」、「特定同族会社株式等の判定明細」に所定の事項を記載するとともに、次の書類を添付する必要があります。
- 戸籍謄本
- 遺言書の写し又は遺産分割協議書の写し
- 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)
- 申告期限後3年以内の分割見込書(期限内に分割ができない場合)
- 特定事業用資産の種類に応じ特例の適用要件を確認する書類
(株式会社ムトウ コンサルティング事業部 税理士 宮下)
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