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税務Q&A

■税務Q&A
◎宅地相続税の課税価格の評価(2005年6月30日)
診療所の敷地となっている宅地を相続した場合、相続税の課税価格が低く評価される特例があるということですが、その制度の内容を教えてください。

◆ ◇ ◆ ポイント ◆ ◇ ◆
  1. 小規模宅地等の特例制度は、事業又は居住の用に供されていた宅地の相続税の課税価格を、適用対象宅地の区分に応じて400m2、240m2、200m2を限度として、その宅地の価額の20%あるいは50%の割合を乗じた金額とするものです。
  2. 適用対象となるのは、建物又は構築物の敷地の用に供されている宅地で、原則として相続税の申告期限までに遺産分割がされていることが必要です。
  3. 課税価格の引下げ効果が大きいので、適用を受ける宅地の単価、減額割合、面積から最も有利な宅地を選択することと誰で適用を受けるかがポイントといえます。


1.「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(措法69条の4)制度の趣旨と仕組み
  1. 制度の仕組み
    相続人等が相続又は遺贈によって取得した財産のうちに、被相続人等の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等で建物や構築物の敷地の用に供されているものがある場合には、限度面積までの部分(「小規模宅地等」)について相続税の課税価格に算入すべき価額は、その宅地等の価額に、次の表に掲げる用途区分に応じ、それぞれ次に掲げる割合を乗じて計算した金額とされます。
    なお、相続時精算課税に係る贈与によって取得した宅地等は、この特例を受けることができませんので、この特例を受けることを予定している宅地はその贈与対象から除外すべきです。

    相続開始直前の状況
    (用途区分)
    要件 限度
    面積
    割合
















    不動産貸付
    業等以外の
    事業用
    被相続人の
    事業用
    「特定事業用宅地等」
    に該当する宅地等
    400m2 20%
    上記以外の宅地等 200m2 50%
    被相続人と
    生計を一にする
    親族の事業用
    「特定事業用宅地等」
    に該当する宅地等
    400m2 20%
    上記以外の宅地等 200m2 50%
    不動産貸付業等の事業用 「特定同族会社事業用宅地等」
    に該当する宅地等
    400m2 20%
    上記以外の宅地等 200m2 50%
    国の事業用宅地等
    (特定郵便局の建物の敷地の
     用に供されている宅地等)
    「国営事業用宅地等」
    に該当する宅地等
    400m2 20%
    上記以外の宅地等 200m2 50%





    被相続人の居住用宅地等 「特定居住用宅地等」
    に該当する宅地等
    240m2 20%
    上記以外の宅地等 200m2 50%
    被相続人と生計を一にする
    親族の居住用宅地等
    「特定居住用宅地等」
    に該当する宅地等
    240m2 20%
    上記以外の宅地等 200m2 50%

    ※ 不動産貸付業等とは、不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業をいいます。
    ※ 2以上について特例の適用を受ける場合の「限度面積」の計算式
      特定事業用等宅地等の面積 + 特定居住用宅地等の面積 × 5 / 3 + 特定特例対象宅地等の面積 × 2 ≦ 400m2
     (特定事業用等宅地等:「特定事業用宅地等」「特定同族会社事業用宅地等」「国営事業用宅地等」)


  2. 制度の趣旨及び留意点
    この制度は、被相続人等の事業用又は居住用の小規模宅地のうち、相続人である後継者や配偶者にとって最少限度必要な部分はその生活基盤維持のため欠くことができず、また、その処分には相当の制約を受けることから、一定の要件、規模でこのような事情がある宅地等に課税上の斟酌を加えようという趣旨で設けられているものです。
    この特例は、建物又は構築物の敷地の用に供されている宅地等に限って適用され、また、相続税の申告期限までに、分割されていない宅地等には適用はありません(ただし、未分割の場合には法定相続分で申告し、申告期限から3年以内に分割された場合等一定の場合には適用されます)。
    また、この小規模宅地の特例と自社株の評価の特例は、いずれか一方の選択を原則とし、一方で限度いっぱい適用した場合は他方の特例は適用できませんが、一方で限度に満たない場合は併用も可能です。

2.特例対象宅地等のうち特定事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等又は特定居住用宅地等の範囲
  1. 特定事業用宅地等
    被相続人等の事業(不動産貸付業等を除く)の用に供されている宅地等で、次の区分に応じ、その宅地等を取得した人のうちに、それぞれの要件のすべてに該当する被相続人の親族がいるものをいいます。

    区分 特例の適用要件
    被相続人の事業の用に
    供されていた宅地等
    事業承継要件 その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を申告期限までに承継し、その事業を営んでいること。
    保有継続要件 その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。
    被相続人と生計を一に
    していた被相続人の
    親族の事業の用に
    供されていた宅地等
    事業継続要件 相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等の上で事業を営んでいること。
    保有継続要件 その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。


  2. 特定同族会社事業用宅地等
    相続開始直前に被相続人及びその被相続人の親族等が有する株式の総数又は出資の金額の合計額が、その法人の発行済株式の総数又は出資金額の50%を超える法人の事業の用に供されていた宅地等で、その相続又は遺贈によりその宅地等を取得した人のうちにその法人の役員である被相続人の親族がおり(法人役員要件)、その宅地等を取得したその親族が申告期限まで引き続きその宅地等を有し(保有継続要件)、かつ、申告期限まで引き続きその法人の事業の用に供されている場合のその宅地等をいいます。

  3. 特定居住用宅地等
    被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、次の区分に応じ、その宅地等を取得した人のうちにそれぞれの要件に該当する被相続人の親族がいるものをいいます。

    区分 取得者 取得者ごとの特例の適用要件
    被相続人の居住の
    用に供されて
    いた宅地等
    被相続人の配偶者 -
    被相続人と同居
    していた親族
    相続開始の時から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を有している人
    被相続人と同居
    していない親族
    被相続人の配偶者又は相続開始の直前において被相続人と同居していた法定相続人がいない場合において、被相続人の親族で、相続開始前3年以内に自己又は自己の配偶者の所有する家屋に居住したことがなく、かつ、相続開始時から申告期限までその宅地等を有している人
    被相続人と生計を
    一にする被相続人の
    親族の居住の用に
    供されていた宅地等
    被相続人の配偶者 -
    被相続人と
    生計を一に
    していた親族
    相続開始時から申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を有している人

3.特例を受けるための手続き
この特例及び自社株評価の特例の対象となりうる宅地等を取得した相続人等が2人以上いる場合には、この特例の適用を受けようとする宅地等の選択についてその全員の同意が必要です。
相続税の申告書には、「小規模宅地等又は特定事業用資産についての課税価格の計算明細書」、「小規模宅地等についての課税価格の計算明細」に所定の事項を記載するとともに、次の書類(5〜6については、該当する書類)を添付する必要があります。
  1. 戸籍謄本
  2. 遺言書の写し又は遺産分割協議書の写し
  3. 相続人全員の印鑑証明書
  4. 申告期限後3年以内の分割見込書(分割ができない場合)
  5. 特定居住用宅地等の場合、(イ)住民票の写し、(ロ)戸籍の附票の写し、(ハ)相続開始前3年以内に居住していた家屋が取得者又はその配偶者の所有する家屋以外の家屋である旨を証する書類
    (配偶者が取得した場合は提出不要。同居している親族が取得した場合には(イ)の書類、同居していない親族が取得した場合には(イ)〜(ハ)の書類を提出します。)
  6. 特定同族会社宅地等の場合、特例の対象となる法人が一定の事項を証明した書類

(株式会社ムトウ コンサルティング事業部 税理士 宮下)
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