◆ ◇ ◆ ポイント ◆ ◇ ◆
- 消費税は、消費者が負担することになっていますが、病医院においては社会保険診療等、非課税となる収入が多いため、診療材料の仕入れに係る消費税額等は課税売上割合に対応する部分しか控除されず、控除対象外消費税額等(非課税売上に対応する部分)は必要経費または損金の額として、病医院の負担となります。
- 将来、消費税率がアップした場合には、病医院は仕入れに伴う消費税額等が増え、その負担が増えることになります。
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1.消費税の基本的な仕組みと病医院の負担の問題点
- 消費税の基本的な仕組み
消費税等は国内で消費される財貨やサービスに対して課される税金であり、財貨の購入やサービスの利用に際して、これを消費する消費者が負担するのが大原則です。
一方、消費税等を税務署に納付する義務を負っているのは、これらの消費財やサービスを提供する事業者で、消費税等はメーカー、問屋、病医院といった取引の各段階で順次課税されながら転嫁されて、最終的には消費者である患者が負担して終わります。
課税の累積を排除するため、事業者は、売上げに係る税額から仕入れに係る税額を控除し、その差し引き税額を納付する仕組みになっています。
| 納付消費税額等 = 課税売上に係る消費税額等 − 課税仕入れに係る消費税額等 |
(注)売上返品等に係る消費税額等や貸倒れに係る消費税額等も控除されます。
- 病医院の消費税等の負担の問題点
ところが、社会保険診療等のような非課税となる診療収入の場合、患者から預かった消費税がないのに、問屋には診療材料を仕入れる際、消費税等を支払っているため、支払損が生ずることになります。
その場合、支払った消費税等が税務署から還付になるのであれば問題はないのですが、単純にそうはなりません。というのは、自由診療等の課税売上によって預かった消費税等から差し引く仕入れに係る消費税等については、課税売上割合を考慮する必要があるからです。
診療材料の仕入れが、社会保険診療等の非課税診療と自由診療に共通するものが多いので、その診療材料の仕入高に対する消費税額に課税売上割合を乗じた部分しか控除できません。
仮に収入が、社会保険診療等しかなかった場合には、課税売上割合が0%になりますので、仕入れに係る消費税額等は一切控除できないことになり、最終消費者である患者ではなく、病医院で必要経費または損金の額として負担することになってしまうわけです。
将来、消費税率がアップした場合に、診療報酬が横ばいのままであれば、問屋に支払う消費税だけが増え、さらに病医院の負担が増加することになります。
2.患者の診療が社会保険診療等である場合の消費税額等の例
下図の例で見てみますと、社会保険診療等による収入は非課税となるため、患者からは消費税等を預かっていません。しかし、問屋には診療材料に対する消費税等600円を支払っているため、支払損が生じてしまいます。
収入が、社会保険診療等の非課税売上しかなかった場合には、課税売上割合が0%になるので、仕入れに係る消費税額は一切控除できないことになり、また、課税売上割合が25%であれば600円の25%である150円しか控除できません。
これらの社会保険診療等の非課税売上対応部分として、控除できない支払消費税等(600円又は450円)は最終消費者でなく病医院で控除対象外消費税額等として負担することになっているわけです。
【患者の診療が社会保険診療等である場合の単純化した仕組み】
課税仕入れに係る消費税額等のうち、控除対象仕入税額として課税売上に係る消費税額等から控除できるものと、病医院の控除対象外消費税額等として負担になるものは、以下のようになっています。
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課税売上割合0%の場合 (例:すべて社会保険診療等) |
課税売上割合25%の場合 (例:自由診療25%、社会保険診療75%) |
| 控除対象仕入税額 |
600円 × 0% = 0円 |
600円 × 25% = 150円 |
| 控除対象外消費税額等 |
600円 − 0円 = 600円 |
600円 − 150円 = 450円 |
(株式会社ムトウ コンサルティング事業部 税理士 宮下)
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