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税務Q&A

■税務Q&A
◎本則課税の消費税の計算(2005年4月28日)
今年から新たに消費税の課税事業者となる個人病院です。今年、建物の改築と新しい医療機器の購入で35百万円程の設備投資を考えているため本則課税が有利とのことですが、本則課税の具体的な消費税の計算はどのようにするのでしょうか。

◆ ◇ ◆ ポイント ◆ ◇ ◆
  1. 本則課税の場合、納付消費税は課税売上に係る消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除して計算しますので、実際の課税仕入取引記録の事務、課否判定、控除仕入税額計算等の作業が必要になります。
  2. 仕入税額控除の適用要件として、課税仕入れの事実を記録した帳簿及びその事実を証する請求書等を7年間保存する必要があります(6年目以降はどちらかでよい)。
  3. 計算事例では、設備投資3,675万円の課税仕入れが本則課税の課税仕入額に反映し、消費税と地方消費税の合計で102,590円の還付となっています。


1.本則課税の消費税計算のポイント
本則課税では下記により消費税額を計算します。
納付消費税額
課税売上に
係る消費税額
課税仕入れに
係る消費税額
売上返品等に
係る消費税額
貸倒れに
係る消費税額
課税仕入れに係る消費税額計算のため、仕入取引の記帳、課否判定、課税売上割合の計算、課税仕入高の算出等が必要になります。そして、課税売上割合が95%以上の場合には、課税仕入れに係る消費税額の全額を控除できますが、課税売上割合が95%未満の場合には、控除対象仕入税額の計算を個別対応方式か一括比例配分方式のいずれかにより行います。
【個別対応方式】
その課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額のすべてを
  1. 課税売上げにのみ要する課税仕入れ等に係るもの
  2. 非課税売上げにのみ要する課税仕入れ等に係るもの
  3. 課税売上げと非課税売上げに共通して要する課税仕入れ等に係るもの
に区分し、次の算式により仕入控除税額を計算する。
仕入控除税額 = 1.の消費税額 +( 3.の消費税額 × 課税売上割合 )

【一括比例配分方式】
仕入控除税額 = 課税仕入れ等に係る消費税額 × 課税売上割合
※ 課税売上割合 = 課税売上高(税抜)÷( 課税売上高(税抜)+ 非課税売上高 )

◎帳簿及び請求書等の保存義務及び記載事項
仕入税額控除の適用要件として、課税仕入の事実を記録した帳簿及びその事実を証する請求書等(請求書、領収書、納品書その他の取引の事実を証する書類)を7年間保存する必要があります。
・帳簿の記載事項
  • 課税仕入の相手方の氏名又は名称
  • 課税仕入を行った年月日
  • 課税仕入に係る資産又は役務の内容
  • 課税仕入に係る支払対価の額

・請求書等の記載事項(相手方が発行した書類)
  • 書類の作成者の氏名又は名称
  • 課税資産の譲渡等を行った年月日
  • 課税資産の譲渡等の対象とされた資産又は役務の内容
  • 課税資産の譲渡等の対価の額
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

2.事例にみる具体的な消費税計算のしくみと税額計算
損益状況が下記決算額(税込み)の病院が、36,750,000円(税込み)の設備投資を行った場合の消費税額等を計算してみましょう(控除対象仕入税額の計算は一括比例配分方式による)。
課税取引金額計算表
科目 決算額 課税取引に
ならないもの
課税取引金額
売上金額 41,960,045 29,609,295 12,350,750



期首商品棚卸高 187,800 - -
仕入金額 690,330 0 690,330
小計 878,130 - -
期末商品棚卸高 140,280 - -
差引原価 737,850 - -
差引金額 41,222,195 - -

租税公課 329,170 329,170 0
水道光熱費 910,110 - 910,110
旅費交通費 150,900 0 150,900
通信費 167,600 0 167,600
広告宣伝費 45,310 0 45,310
接待交際費 456,500 124,400 332,100
損害保険料 120,000 120,000 -
修繕費 1,180,360 - 1,180,360
消耗品費 780,248 - 780,248
減価償却費 2,558,900 2,558,900 -
福利厚生費 255,989 255,989 -
給料賃金 5,530,000 5,530,000 -
地代家賃 3,123,000 0 3,123,000
業務委託費 5,200,000 0 5,200,000
研修費 1,205,700 0 1,205,700
雑費 782,652 302,500 480,152
22,796,439 9,220,959 13,575,480
差引金額 18,425,756 - -

◎確定申告書等作成の手順と消費税額等の計算例
    ・課税標準額の計算
    12,350,750円×100÷105
    =11,762,619円
    ・課税売上割合
    11,762,619円+29,609,295円
    =41,371,914円
    11,762,619円÷41,371,914円
    =28.4314%
    ・課税標準額に対する消費税額の計算
    11,762,000円×4%
    =470,480円
    ・課税仕入れに係る支払対価の額
    690,330円+22,796,439円−9,220,959円
    =14,265,810円
    14,265,810円+36,750,000円
    =51,015,810円
    ・課税仕入れに係る消費税額
    51,015,810円×4÷105
    =1,943,459円
    ・一括比例配分方式による控除対象仕入税額
    1,943,459円×28.4314%
    =552,552円
    ・控除不足還付税額
     a. 消費税
    552,552円−470,480円=82,072円
     b. 地方消費税
    82,072円×25%=20,518円
    (a)+(b)=102,590円
  1. 所得税の青色申告決算書等の金額を「課税取引金額計算表」の決算額欄に転記し、科目の取引資料から課否判定を行って課税取引金額を算出し(上記の通り)、課税売上割合を検討します。
  2. 課税取引計算表等から「課税売上高計算表」「課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算表」を使って課税標準額及び課税売上割合を計算し、確定申告書の課税標準額(1)に記入します。
  3. 確定申告書の課税標準額(1)の金額に4%を乗じて計算した金額を消費税額(2)へ記載します。
  4. 課税取引金額計算表、設備投資額等から「課税仕入高計算表」及び「控除対象仕入税額等の計算表」を使って控除対象仕入税額を計算します。
  5. 控除対象仕入税額を確定申告書(4)に転記し、消費税額(2)から控除して控除不足還付税額又は差引税額を計算します。そして、消費税額に25%を乗じて地方消費税を計算し、消費税及び地方消費税の合計(納付又は還付)税額を記載します。
    なお、還付の場合には「仕入控除税額に関する明細書」を確定申告書に添付します。

(株式会社ムトウ コンサルティング事業部 税理士 宮下)
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