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税務Q&A

■税務Q&A
◎損害賠償の示談金の税務上の取り扱い(2005年3月31日)
患者から医療ミスを理由に損害賠償を求められ、示談で支払うことになった慰謝料は経費となりますか。また、看護師の医療機器の操作ミスに対して事業主が患者に支払った慰謝料の取扱いはどうなりますか。

◆ ◇ ◆ ポイント ◆ ◇ ◆
  1. 業務上の損害賠償金は、故意又は重大な過失がなければ事業の必要経費となります。
  2. 従業員の医療ミスに関し事業主に故意又は重大な過失がない場合には、その従業員に故意又は重大な過失があったかどうかを問わず、事業主が支払った業務上の損害賠償金は、その事業の必要経費に算入されます。
  3. 事業主が従業員の行為に基因する損害賠償金を負担することによりその従業員が受ける経済的利益については、業務上のもので、かつ、その従業員の故意又は重過失に基づかないものである場合にはないものとされ、それ以外のものである場合には、原則としてその従業員に対する給与等になります。


1.医療事故に関して支払った損害賠償金の取扱い
業務の遂行上第三者に与えた損害について支出する損害賠償金は、原則として事業の必要経費となりますが、(1)家事上の損害賠償金や(2)業務に関連して事業主の故意又は重大な過失によって他人の権利を侵害したことにより支払う損害賠償金は、必要経費になりません。また、この場合の損害賠償金には、慰謝料、示談金、見舞金など名目のいかんを問わず、他人に与えた損害を補てんするために支出する一切の費用が含まれ、さらに関連する弁護士報酬等も含まれます。
なお、他人の権利を侵害したことについて「重大な過失」があったかどうかは、その者の職業、地位、加害時の周囲の状況、侵害した権利の内容、取締法規の有無などの具体的な事情を考慮してその者が払うべきであった注意義務の程度を判定し、不注意の程度が著しいかどうかによって判定することに取り扱われており、例えば、特別の事情がない限り、劇薬などを他の薬品などと誤認して供与して他人に損害を与えた場合などは重大な過失があったものとされています。
したがって、その事故が業務遂行の過程において発生したもので、事故を起したことについて故意又は重大な過失がないときには、その支払うことになった慰謝料(保険などで補てんされる金額は除きます)は、弁護士への謝礼も含めて事業の必要経費となります。

2.事業主が従業員の行為によって支払った損害賠償金
  1. 事業主が支払った損害賠償金の損金算入
    事業主が従業員の行為に基因する損害賠償金(それに類するもの、関連する弁護士報酬等の費用を含みます)を負担した場合には、次のとおり取り扱うこととされています。
    1. その従業員の行為に関し事業主に故意又は重大な過失がある場合には、その従業員の行為に故意又は重大な過失がないときであっても、その事業の必要経費に算入されません。
    2. その従業員の行為に関し事業主に故意又は重大な過失がない場合には、その従業員に故意又は重大な過失があったかどうかを問わず、次により取り扱われます。
      • 業務の遂行に関連する行為に基因する損害賠償金は、その従業員の従事する事業の必要経費に算入されます。
      • 業務の遂行に関連しない行為に基因する損害賠償金は、家族従業員以外の使用人の行為に関し負担したもので事業主としての立場上やむを得ず負担したものについては、その従業員の従事する事業の必要経費に算入され、その他のものについては、必要経費に算入されません。(事業の必要経費に算入されないものは、その従業員に対する給与として取り扱われますから、そこで必要経費に算入されることになります)

  2. 事業主が負担した損害賠償金と従業員の経済的利益
    事業主が従業員の行為に基因する損害賠償金、慰謝料、示談金等を負担することによりその従業員が受ける経済的利益については、次によることとされています。
    1. その損害賠償金等の基因となった行為が事業主の業務の遂行に関連するものであり、かつ、行為者の故意又は重過失に基づかないものである場合には、その従業員が受ける経済的利益はないものとされます。
    2. その損害賠償金等の基因となった行為が i 以外のものである場合には、その負担する金額は、その従業員に対する給与等になります。
    ただし、その負担した金額のうちに、その行為者の支払能力等からみてその人に負担させることができないためやむを得ず事業者が負担したと認められる部分の金額がある場合には、その部分の金額については、 i の場合に準じて経済的利益はないものとされます。

(株式会社ムトウ コンサルティング事業部 税理士 宮下)
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