◆ ◇ ◆ ポイント ◆ ◇ ◆
- 消費税は、4つの課税要件を満たした取引に課税されますが、課税されないものとして、非課税取引、不課税取引、免税取引があります。
- 本則課税制度においては、設備投資を含めた課税仕入れ等に係る実際の消費税額を仕入取引の記帳に基づき課否判定を行って計算し、課税売上割合を使って控除対象仕入税額を求めます。
- 消費税の課否判定は取引ごとに行われ、課税仕入金額計算のポイントになります。
|
1.消費税の課税、非課税等取引の分類と仕入控除税額の計算
- 消費税の課税要件と課税取引、非課税取引、不課税取引、免税取引
消費税は次の4つの要件を満たした取引に課税されます。
- 国内の取引であること
- 対価を得る(有償)取引であること
- 事業者が事業として行うこと
- 資産の譲渡、貸付け、役務の提供であること
ただし、要件に合致していても、消費に負担を求める税の性格から課税の対象とすることになじまないものや、社会政策上課税すべきでないものが「非課税取引」として限定的に規定されています。
■非課税取引の例
(1)消費税の性格上課税対象とすることになじまないもの
- 土地の譲渡、貸付けなど
- 社債、株式等、支払手段の譲渡など
- 利子、保証料、保険料など
- 郵便切手、証紙、印紙などの譲渡
- 商品券、プリペイドカードなどの譲渡
- 住民票、戸籍抄本等の行政手数料など
- 国際郵便為替、外国為替など
(2)特別の社会政策的な配慮に基づくもの
- 社会保険医療など
- 介護保険サービス、一定の社会福祉事業など
- 助産(お産費用など)
- 埋葬料、火葬料
- 一定の身体障害者用物品の譲渡、貸付けなど
- 一定の学校の授業料、入学金・入園料など
- 教科用図書の譲渡
- 住宅の貸付け
非課税取引のほかに消費税がかからない取引には、「不課税取引」と「免税取引」があります。
不課税取引とは、消費税の課税対象の4つの要件から外れている取引で、課税対象外取引とも呼ばれ、例えば、自宅や非事業用資産の売却などのような事業として行われるものでない取引、保険金、利益の配当、寄付金、祝金、見舞金などのような反対給付としての対価性を有しない取引などです。
また、免税取引とは、課税事業者が輸出取引等として課税資産の譲渡等のことをいいます。
- 本則課税制度における仕入控除税額の計算
本則課税制度では、消費税等の納付税額は課税期間における課税売上げに係る消費税額から、課税仕入れ等に係る消費税額を差し引いて計算します。
簡易課税制度を選択した場合は、課税売上高から納付税額を計算できますので、実際の課税仕入れ等に係る消費税額を計算する必要はありませんが、本則課税制度では個々の支出項目について発生した取引を記帳して仕入控除税額を計算把握することが必要です。
■本則課税制度における仕入控除税額の計算方法
| 課税売上割合 |
計算方法 |
| 95%以上 |
課税仕入れ等に係る税額の全額 |
| 95%未満 |
【個別対応方式】
その課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額のすべてを
1. 課税売上げにのみ要する課税仕入れ等に係るもの
2. 非課税売上げにのみ要する課税仕入れ等に係るもの
3. 課税売上げと非課税売上げに共通して要する課税仕入れ等に係るもの
に区分し、次の算式により仕入控除税額を計算する。
仕入控除税額=1の消費税額+(3の消費税額×課税売上割合)
【一括比例配分方式】
仕入控除税額=課税仕入れ等に係る消費税額×課税売上割合
|
※ 課税売上割合=課税売上高(税抜)/課税売上高(税抜)+非課税売上高
(この分子、分母の課税売上高には免税売上高を含みます。)
2.支出項目の課否判定の概要
消費税の課否の判定は、個々の取引ごとにその内容を検討して行われます。支出項目を例示して課否判定の目安を示すと次のようになります。
| 支出項目 |
判定 |
補足説明 |
| 医薬品、医療機器の購入 |
課税仕入 |
|
| 従業員給料、賞与、退職金 |
不課税 |
事業として対価を得て行われる役務の提供でない |
| 従業員の通勤手当 |
課税仕入 |
通勤に通常必要と認められる部分の金額 |
| 人材派遣料 |
課税仕入 |
|
| 出張旅費、日当、転勤支度金 |
課税仕入 |
通常必要であると認められる部分の金額 |
| 社会保険料等(法定福利費) |
非課税 |
|
| 航空券のキャンセル料 |
課税仕入 |
一定額部分(割増し部分は損害賠償金で不課税) |
| 電話代 |
課税仕入 |
但し、国際電話料は輸出免税 |
| 寄附金 |
不課税 |
金銭による寄附(寄附のための物品の購入は課税) |
| 交際費(接待飲食費) |
課税仕入 |
|
| 交際費(贈答品の購入) |
課税仕入 |
贈答用商品券の購入費用は非課税 |
| 交際費(祝い金、見舞金) |
不課税 |
使途不明金、チップも不課税 |
| 社宅に関する費用 |
非課税 |
住宅の貸付けは社会政策的配慮に基づく |
| 医師会費 |
不課税 |
通常会費は役務の提供と明白な対価関係がない |
| セミナー、研修会費 |
課税仕入 |
|
| 司法書士・弁護士・税理士報酬 |
課税仕入 |
|
| クレジットカードの手数料 |
非課税 |
利息と同様の性格のもの |
| 身体障害者用物品 |
非課税 |
但し、厚生労働大臣が指定した一定の物品のみ |
| 身体障害者用自動車の付属品 |
非課税 |
購入時に取付け自動車と一体で取引されるもの |
| 野球場の使用料 |
課税仕入 |
土地そのものではなく施設である |
| リース料 |
課税仕入 |
賃借料と利子保険料に分かれている場合前者のみ |
| 固定資産の減価償却費 |
不課税 |
購入時に全額が課税仕入れ |
| 租税公課、罰金 |
不課税 |
資産の譲渡等の対価ではない |
| 貸倒損失(課税売上債権の) |
課税仕入 |
貸倒れに係る控除の対象、貸付金の貸倒は不課税 |
| 生命保険料・損害保険料 |
非課税 |
消費税の性格上課税対象になじまない |
| 自動車購入時の諸費用 |
課税仕入 |
但し、ディラーの代行費用に当る部分のみ |
| 借入の支払利息と信用保証料 |
非課税 |
消費税の性格上課税対象になじまない |
| 病棟の建設 |
課税仕入 |
|
| 期限切れ薬品を廃棄した場合 |
不課税 |
資産の譲渡等に該当しない |
| 示談金 |
不課税 |
損害賠償金は対価性がない |
| 未経過固定資産税等の取扱い |
課税仕入 |
私人間で行う利益調整で譲渡対価の一部を構成 |
(株式会社ムトウ コンサルティング事業部 税理士 宮下)
|