◆ ◇ ◆ ポイント ◆ ◇ ◆
- 特定の居住用財産の買換えに伴い発生した譲渡損失については、特例の要件を満たす場合、その年の他の所得との損益通算及び翌年以降3年間の繰越控除ができます。
- この特例は、居住用家屋の譲渡損失が生じた年分の所得税につき、その計算明細書等を添付した確定申告書を申告期限までに提出し、その後連続して確定申告書を提出し、かつ、計算明細書等一定の書類の添付がある場合に認められます。
- 確定申告は、「居住用財産の譲渡損失の金額の明細書」、「居住用財産の譲渡損損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5用】」を作成し、その数字と源泉徴収票をもとに確定申告書B第一表、第二表、第三表(分離課税用)に記入し、登記簿謄本、売買契約書、住民票等を添付して行います。
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1.居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の特例 (措置法41条の5)の適用要件
譲 渡 資 産 |
譲渡期間 |
平成16年1月1日〜平成18年12月31日 |
| 所有期間 |
譲渡した年の1月1日において5年超所有(分離長期譲渡所得) |
| 使用要件 |
譲渡した者の居住の用に供しているもの |
| 譲渡先の制限 |
配偶者、直系血族、生計一親族等以外の者への譲渡 |
| 住宅借入金等 |
要件なし(ローン完済者も適用可能) |
買 換 資 産 |
取得期間 |
譲渡の年の前年〜譲渡の年の翌年まで |
| 居住開始期間 |
取得した年の翌年末まで |
| 床面積制限 |
居住用部分が50m2以上 |
| 住宅借入金等 |
【損益通算の特例】 取得した年の12月31日において一定の住宅借入金等を有すること 【繰越控除の特例】 適用を受けようとする年の12月31日において一定の住宅借入金等の残高があること |
| 譲渡損失の金額の制限 |
譲渡所得の金額の計算上生じた損失全額(500m2超の敷地部分を除く) |
| 繰越控除の所得制限 |
繰越控除を受けようとする年分の合計所得金額が3,000万円以下 |
| 繰越控除期間 |
譲渡した年の翌年以後3年間 |
| 申告要件 |
【損益通算の特例】 譲渡損失が生じた年分の確定申告書に一定の書類を添付して期限内申告すること 【繰越控除の特例】 一定の書類を添付して連続して確定申告書を提出していること |
2.特例の適用を受けるための手続き等
居住用財産の買換え等の場合の損益通算及び繰越控除の特例の適用は、居住用財産の譲渡損失の金額が生じた年分の所得税につきその居住用財産の譲渡損失の金額の計算に関する明細書等の一定の書類の添付がある確定申告書をその提出期限までに提出し、その後も連続して確定申告書を提出し、かつ、控除を受けようとする年分の確定申告書に控除を受ける金額の計算に関する明細書等一定の書類の添付がある場合に限り認められます。
- 居住用財産の譲渡損失の金額が生じた年分の確定申告書
- 確定申告書への添付書類
居住用財産の譲渡所得の金額が生じた年分の確定申告書には、次に掲げる書類を添付して、その提出期限までに提出しなければなりません。
- その年において生じた居住用財産の譲渡損失の金額の計算に関する明細書
- 特定譲渡をした譲渡資産に係る登記簿謄本、抄本又は登記事項証明書、閉鎖登記簿の謄本、抄本又は登記事項証明書、売買契約書その他これらに類する書類
(それらはその譲渡資産の所有期間が5年を超えるものであること及びその譲渡資産のうちに土地等が含まれている場合にはその面積を明らかにするものです)
- 特定譲渡をした譲渡資産の所在地を管轄する市町村長又は特別区若しくは指定都市の区の区長から交付を受けたその特定譲渡をした者の住民票の写し、戸籍の附票の写しその他これらに類する書類
(それらはその特定譲渡をした者がその譲渡資産を居住の用に供していたことを明らかにするものです)
- 買換資産に係る提出書類
上記 i の確定申告を提出する者は、次に掲げる書類を特定譲渡の日の属する年の12月31日までに買換資産を取得する場合にはその確定申告書の提出の日までに、特定譲渡の日の属する年の翌年中に買換資産の取得をする場合にはその翌年分の確定申告書の提出期限までに、納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
- 取得をした買換資産に係る登記簿謄本、抄本若しくは登記事項証明書、売買契約書その他の書類で、その買換資産の取得をしたこと、その買換資産の取得をした年月日及びその買換資産に係る家屋の床面積が50m2以上であることを明らかにする書類又はその写し
- 取得をした買換資産の所在地を管轄する市長村長等から交付を受けたその取得をした者の住民票の写し
- 居住用財産の譲渡損失の金額の繰越控除の特例の適用を受けようとする年分の確定申告書
この繰越控除の特例の適用を受けようとする年分の確定申告書は、次に掲げる書類を添付して提出しなければなりません。
- その年において控除すべき通算後譲渡損失金額及びその金額の計算の基礎その他参考となるべき事項を記載した明細書
- 取得をした買換資産に係る住宅借入金等の残高証明書
3.ケースによる居住用財産の譲渡損失の金額の計算と確定申告書作成の手順
次のケースをもとに、「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の特例」の、計算の仕方と確定申告書作成の手順をみてみましょう。
■居住用財産の買換えのデータ
- ・譲渡した資産
- 平成9年1月に3500万円(土地代1,500万円)で購入した一戸建の木造住宅を平成16年8月2,400万円で売却、引き渡した。
譲渡費用として、仲介手数料819,000円と印紙代15,000円がかかった。
- ・購入した資産
- 平成16年9月15日に4,000万円でマンションを購入し(3,000万円の住宅ローンを期間20年で組む)、同日から居住を開始している。
■源泉徴収票のデータ
- 給与の支払金額・・・12,000,000円
- 所得控除の額の合計額・・・3,163,000円
- 給与所得控除後の金額・・・9,700,000円
- 源泉徴収税額・・・9,800,000円
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| 譲渡価額 |
24,000,000円 |
取 得 費 |
取得価額 |
35,000,000円 |
| 償却費相当額 |
4,464,000円 |
| 差額 |
30,536,000円 |
| 譲渡に要した費用 |
834,000円 |
| 居住用財産の譲渡損失の金額 |
△7,370,000円 |
- マイホームを買換えて居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の適用を受ける場合には、まず「居住用財産の譲渡損失の金額の明細書」を作成し、居住用財産の譲渡損失の金額を右記のように求めます。
- 次に「確定申告書B」を作成します。第一表の収入金額等と所得金額、第二表、第一表の所得から差し引かれる金額の順に、源泉徴収票等をもとに記載します。
第三表(分離課税用)の記載については、まず収入金額と所得金額の箇所に、「居住用財産の譲渡損失の金額の明細書」から転記します。次いで、税金の計算の総合課税の合計額には、給与所得金額(9,700,000円)から「損益通算の特例対象となる居住用財産の譲渡損失の金額(特定損失額)」(7,370,000円)を差し引いた金額を上段に、下段には譲渡損失の金額を控除する前の総合課税の所得金額の合計額を括弧をつけて書きます。右側に移って、特例適用条文に「措法41条の5 1項」と記載し、右下の「分離課税の短期・長期譲渡所得に関する事項」にも記載します。
- そして、上記の「居住用財産の譲渡損失の金額」をもとに、「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5用】」を作成し、本年分において他の所得と損益通算できる居住用財産の譲渡損失の金額及び翌年以後に繰り越される居住用財産の譲渡損失の金額の具体的な計算を行います。 同計算書で翌年以後に繰り越される居住用財産の譲渡損失の金額を計算します。このケースでは、損益通算により平成16年分の差引所得税額はゼロとなり、源泉徴収税額が全額還付されますが、翌年以後に繰り越される譲渡損失の金額は、生じないことになります。
- 最後に確定申告書B第一表の税金の計算及びその他の箇所を書き、譲渡損失について損益通算を行うことで還付される税金が生じる場合には、その受取場所への記入をしておきます。
(株式会社ムトウ コンサルティング事業部 税理士 宮下)
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