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税務Q&A

■税務Q&A
◎所得金額計算上の損益通算順序と損失の扱い(2005年2月28日)
昨年は近くにクリニックの開業があったせいか患者が減り事業所得が赤字になり、また、株の譲渡損もありましたが、所得金額計算上の損益通算の順序や損失の繰越し・繰戻しについて教えてください。

◆ ◇ ◆ ポイント ◆ ◇ ◆
  1. 損益通算できる損失は、不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得の計算上生じた損失に限られますので、事業損失は他の所得と損益通算できますが、申告分離課税の株式の譲渡損については、株式の譲渡による所得以外の所得との損益通算はできません。
  2. 損益通算を行った結果、なお控除しきれない損失の金額がある場合には、一定の条件に当てはまると「純損失の繰越控除」又は「純損失の繰戻しによる還付」を受けることができます。


1.損益通算の順序
各種所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、特定の損失については他の各種所得の黒字の金額から差引計算することができ、これを損益通算といいます。
総所得 山林所得 退職所得
経常所得 譲渡・一時所得
利子
配当
不動産
事業
(総合・分離)
給与
雑(総合・分離)
譲渡
(総合・分離)
一時
山林所得

「経常所得」の次に
「譲渡・一時所得」と
通算する。
退職所得
第一次通算 第一次通算  
第二次通算  
第三次通算
※ □で囲んだ部分の所得は、その損失額を他の所得金額と通算できる所得です。
  1. 第一次通算
    • 経常所得グループ内での損益通算
      不動産所得又は事業所得の損失の金額は、これをまず他の経常所得の金額から控除します。
    • 譲渡・一時所得グループ内での損益通算
      総合課税の譲渡所得の損失の金額は、これをまず一時所得の金額(特別控除後で2分の1する前の金額)から控除します。
  2. 第二次通算
    • 経常所得グループの金額が赤字になった場合の損益通算
      不動産所得又は事業所得の損失の金額を経常所得の金額から控除しきれない場合には、その控除しきれない金額は、総合課税の短期譲渡の金額(特別控除後)、総合課税の長期譲渡所得の金額(特別控除後)、一時所得の金額(特別控除後で1/2前)から順次控除します。
    • 譲渡・一時所得グループの金額が赤字になった場合の損益通算
      譲渡所得の損失の金額を一時所得の金額から控除してもなお控除しきれない場合は、その控除しきれない金額は、経常所得の金額から順次差し引きます。
  3. 第三次通算
    2により控除しても、なお控除しきれない損失の金額は、山林所得の金額(特別控除後)、退職所得の金額(1/2後)から順次差し引きます。

2.損益通算のできない損失の主なもの
  1. 配当所得の計算上生じた損失
  2. 一時所得の計算上生じた損失
  3. 雑所得の計算上生じた損失
  4. 土地建物等の譲渡による分離課税の譲渡所得の金額の計算上生じた損失
  5. 株式等の譲渡所得等の金額の計算上生じた損失
  6. 非課税所得の金額の計算上生じた損失(損失はないものとされます)
  7. 競走馬、別荘、貴金属、書画、骨董など生活に通常必要でない資産の譲渡等から生じた損失
  8. 不動産所得の赤字のうち、土地等の取得に係る借入金の利子の額に対応する部分の金額

3.損失の金額の繰越し又は繰戻しのあらまし
損益通算を行った結果、なお控除しきれない損失の金額(これを「純損失の金額」といいます)がある場合には、一定の条件にあてはまる場合、「純損失の繰越控除」又は「純損失の繰戻しによる還付」の適用を受けることができます。
  1. 純損失の繰越控除
    その年の純損失の金額は、翌年以後3年間にわたって、各年分の所得金額から差し引くことができます。又、逆にその年の総所得金額が黒字の場合は前年以前3年内の各年に生じた純損失の金額(前年以前に控除されたものや、次項2「純損失の繰戻し」による還付を受けるべき金額の基礎とされたものは除きます)を、一定の順序によって控除することができます。
    ここで、控除される損失の範囲は、青色申告者の場合は純損失の全てですが、白色申告者の場合は純損失の金額のうち、被災事業用資産の損失の金額と変動所得の損失の金額に限られます。

  2. 純損失の繰戻しによる還付
    青色申告者は、前年も青色申告者であれば、その年の純損失の金額の全部又は一部を前年分の所得金額から控除でき、還付請求書を提出して、前年分の税額として納めた税額の還付を請求できます。
  • 法人については、現在、「欠損金の繰戻しによる還付」は不適用となっていますが、個人についてはそのような経過措置はありません。

(株式会社ムトウ コンサルティング事業部 税理士 宮下)
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