◆ ◇ ◆ ポイント ◆ ◇ ◆
- 課税売上高には、医業収益の差額ベッド代、歯科材料差額、健康診断等の自由診療報酬のほか、病院建物の売却代金や医療機器の下取り代金等も含まれます。
- 簡易課税のみなし仕入率の業種が2つ以上の場合の計算は、原則として平均みなし仕入率によりますが、総売上高の75%以上を占める事業がある場合には、全体についてその業種のみなし仕入率とする等の特例も認められています。
- 簡易課税制度を選択した場合の納付すべき消費税額等は、第5種事業の場合、年間、課税売上高1千万円で25万円、2千万円で50万円となります。
|
1.課税売上高に入るもの、入らないもの
消費税の課税売上高に入るのは、医業収益の差額ベッド代、健康診断、歯科材料差額、物品販売収入などのほか、病院建物の売却代金や医療機器の下取り代金等です。社会保険医療、自賠責、労災、公害、介護保険サービスなどが非課税となります。
消費税の課税・非課税・不課税区分の概要
| 課税 |
非課税 |
|
差額ベッド代・歯科材料差額・給食の差額部分・予約又は時間外診察料・予防接種、健康診査等・健康診断(健康診断書作成料を含む)・歯科自由診療・物品販売収入・人工妊娠中絶(保険医療に係る部分を除く)・要介護者の選定による交通費、送迎費・要介護認定申請に係る意見書作成費用・病院建物売却代金・医療用機器下取り代金
|
社会保険医療(療養の給付)・特定療療費・高度先進医療・公費負担医療(障害者、生活保護)・自賠責(任意保険、自費を含む)、労災、公害の療養の給付・介護保険サービス・助産に係る資産の譲渡等(妊娠検査、分娩のための入院、介助)・受取利息・土地の譲渡及び貸付・住宅の貸付
|
| 不課税 |
|
家庭で使用していた家具等の売却・保険金・配当金・還付加算金
|
2.簡易課税の業種が2つ以上ある場合の計算方法
みなし仕入率の業種が2つ以上の場合、原則として平均みなし仕入率により計算しますが、総売上高の75%以上を占める事業がある場合には、その業種のみなし仕入率を用いて計算することができます。
ただし、医療業はみなし仕入率が一番低い第5種事業ですから、医療業だけで75%を超えるとしても、特例計算は使用しないほうが有利となります。
また、3種類以上の事業がある場合には、そのうち1種類の課税売上高だけで75%以上にならなくても、2種類の事業を合計すると全体の課税売上高の75%以上を占める場合には、次のみなし仕入率を使うことができます。
・2種類のうち、みなし仕入率の高いほうの事業 → その事業のみなし仕入率
・その他の事業 → 2種類のうち、みなし仕入率の低いほうの事業のみなし仕入率
■計算例
- 自由診療収入 1,575万円(第5種事業)
- 建物売却収入 525万円(第4種事業)
- 課税売上高合計 2,100万円(税込)
のケースの納付すべき消費税額等の計算
- 課税標準額・・・2,000万円(2,100万円×100÷105)
- 売上に係る消費税額・・・80万円(2,000万円×4%)
- 仕入控除税額の計算
・原則計算・・・80万円×(20万円×60%+60万円×50%)÷80万円=42万円
・特例計算・・・80万円×50%=40万円
・・・よって42万円(原則計算>特例計算)
【注意】
i. 各事業ごとの消費税額
第4種事業・・・525万円×4÷105=20万円
第5種事業・・・1,575万円×4÷105=60万円
・・・合計 80万円
ii. 各事業ごとの課税売上高の占める割合
第4種事業・・・500万円÷2,000万円=25%
第5種事業・・・1,500万円÷2,000万円=75%
※ みなし仕入率が低いので、75%以上でも特例は適用しないほうが有利。
- 納付すべき消費税額等の計算
- 消費税額・・・80万円−42万円=38万円
- 地方消費税額・・・38万円×25%=9.5万円
- 消費税額と地方消費税額の合計額・・・38万円+9.5万円=47.5万円
|
3.簡易課税制度を適用した場合に実際に納める消費税額
簡易課税制度を選択した場合、年間の課税売上高の規模によってどのくらいの消費税等納付税額(消費税+地方消費税)になるかがわかります。
事業別・売上別にまとめると次のようになります。
| 課税売上高(税抜) |
第一種事業 |
第二種事業 |
第三種事業 |
第四種事業 |
第五種事業 |
| 3,000万円 |
15万円 |
30万円 |
45万円 |
60万円 |
75万円 |
| 2,000万円 |
10万円 |
20万円 |
30万円 |
40万円 |
50万円 |
| 1,000万円 |
5万円 |
10万円 |
15万円 |
20万円 |
25万円 |
(株式会社ムトウ コンサルティング事業部 税理士 宮下)
|