◆ ◇ ◆ ポイント ◆ ◇ ◆
- 【主な改正内容】
- 所得税、住民税の定率減税を2分の1に縮減
実施時期は、所得税―平成18年1月、個人住民税―平成18年6月
- 国が定めた耐震基準に適合する中古住宅を住宅ローン減税等の適用対象に加える
- 人材投資減税の創設
- タンス株の特定口座への受入れを、新たな措置として、平成17年4月から実施
- 認定NPO法人制度の認定要件等の緩和と寄附金控除の限度額の引き上げ
- 【税制改正施行までの流れ】
- 昨年12月15日与党の税制改正大綱が決定されましたが、11月に首相が受けた政府税制調査会からの答申とをふまえ、財務省と総務省は、それぞれ国税と地方税の税制改正法案を固め、年明けの閣議決定を経て今月中旬に召集される通常国会に提出、4月1日施行に向け国会衆参両院での審議が3月末頃国会成立を目指して行われることとなります。
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1.個人所得課税
- 定率減税の縮減―所得税、個人住民税
定率減税の額について、2分の1に縮減する。
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現 行 |
改正案 |
| 所得税 |
所得税額の20%相当額 20%相当額が25万円を 超える場合は、25万円 |
所得税額の10%相当額 10%相当額が12.5万円を 超える場合は、12.5万円 |
| 個人住民税 |
個人住民税所得割額の15%相当額 15%相当額が4万円を 超える場合は、4万円 |
個人住民税所得割額の7.5%相当額 7.5%相当額が2万円を 超える場合は、2万円 |
- 上記の改正は、所得税については平成18年1月から、個人住民税については平成18年6月徴収分から実施する。この定率減税の2分の1の縮減については、今後の景気動向を注視し、必要があれば、政府与党の決断により、その見直しを含め、その時々の経済状況に機動的・弾力的に対応する、と大綱の総論部分で記述されています。
- 税源委譲
三位一体改革の一環として、平成18年度税制改正において、わが国経済社会の動向を踏まえつつ、所得税から個人住民税への本格的な税源委譲を実施し、あわせて国・地方を通ずる個人所得課税のあり方の見直しを行う。平成17年度においては、暫定的措置として、所得譲与税により1兆1,159億円の税源委譲を行う。
2.中古住宅税制
次の税制特例措置の適用対象となる既存住宅、買換資産の範囲に、築後経過年数に関係なく、「地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるものに適合する一定の既存住宅」を加える。
登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降のものについては、新耐震基準に適合しているものとみなされます。
- 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除(住宅ローン減税)
(注)平成17年4月1日以後に既存住宅の取得をし、自己の居住の用に供する場合について適用する。
- 特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例
(注)上記の改正は、平成17年1月1日以後に譲渡資産の譲渡をし、同年4月1日以後に買換資産の取得をする場合について適用する。
- 住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例
(注)上記の改正は、平成17年4月1日以後に取得をする既存住宅に係る贈与税について適用する。
3.人材投資(教育訓練)促進税制の創設
- 基本制度
青色申告書を提出する法人の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額が、その法人の直前2年以内に開始した各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された教育訓練費の平均額を超える場合には、3年間の時限措置として、その超える部分に金額の25%相当額の税額控除を認める。ただし、当期の法人税額の10%相当額を限度とする。
| (今期の教育訓練費−過去2年間の平均教育訓練費)×25% → 税額控除(法人税額の10%を限度) |
- 中小企業者等の特例
青色申告書を提出する中小企業者等については、上記1の制度の適用に代えて、各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額に対し次の控除率による税額控除を認める。ただし、当期の法人税額の10%相当額を限度とする。
- 教育訓練費増加率が40%以上・・・20%
- 教育訓練費増加率が40%未満・・・教育訓練費増加率×0.5
- ※ 教育訓練費増加率
- 当期の教育訓練費の額からその直前2年以内に開始した各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された教育訓練費の平均額を控除した金額のその平均額に対する割合。
- ※ 上記の措置は、平成17年4月1日以後に開始する事業年度について適用する。
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| 教育訓練費総額×税額控除率(増加率の1/2・上限20%) → 税額控除(法人税額の10%を限度) |
- 法人住民税について、3年間の時限措置として、中小企業者等に対する人材投資(教育訓練)促進税制を創設することとし、平成17年4月1日以後に開始する事業年度について適用する。
■税額控除の対象費用と具体例
- ・講師・指導員等経費
- 社外講師・指導員に支払う講師料・指導員料
- ・教材費
- 研修用の教材・プログラムの購入料等
- ・外部施設使用料
- 研修を行うために使用する外部施設・設備の借上料、利用料
- ・研修参加費
- 企業経営の観点から、企業が従業員の教育訓練上必要なものとして指定した講座等の受講費用、参加費用
- ・研修委託費
- 講師、教材等を含め研修全体を外部の教育機関へ委託する場合の費用
■税額控除額計算の例
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- 前2事業年度の教育訓練費の平均額1,000万円の中小企業が、適用事業年度に教育訓練費を300万円(30%)増加させた場合、下記のように基本制度では75万円、中小企業者等の特例では、228.7万円の税額控除となる(法人税額の10%の限度内にあるとして)。
- ・基本制度の場合
- 法人税控除額・・・300万円×25%=75万円
- ・中小企業特例の場合
- 法人税控除額・・・1,300万円×30%×1/2=195万円
法人住民税控除額・・・195万円×17.3%=33.7万円
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4.金融・証券税制
- タンス株の特定口座への受入れは、新たな措置として、平成17年4月から実施。
現 行(平成15.4.1〜16.12.31) 取得価額は、実際の取得価額と平成13年10月31日の終値の80%との選択 |
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→ |
改正案(平成17.4.1〜21.5.31) 取得価額は、実際の取得価額による受入れに限定 |
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※ 特定口座の取扱者の範囲に日本郵政公社を加える(平成17年10月1日から)。
- 特定口座で管理されていた株式について、発行会社の清算結了等により無価値化損失が生じた場合、これを株式等の譲渡損失とみなす特例の創設。
5.NPO税制
- 認定NPO法人制度の認定要件等の緩和
- パブリック・サポート・テスト(総収入金額のうちに寄附金総額の占める割合が5分の1以上であること)について、直前2事業年度の平均により算定する(ただし、各事業年度の割合が10分の1以上であること)。
- 共益的な活動の制限に係る要件(事業活動のうちに共益的な活動の占める割合が100分の50未満であること)について、直前2事業年度の平均により算定する。
- 運営組織、経理及び事業活動に関する要件について、次のとおり見直す。
- 役員及び社員の親族の範囲を配偶者及び三親等以内の親族に限定する。
- 事業費総額のうちに特定非営利活動事業費の占める割合要件(80%以上)について、直前2事業年度の平均により算定する。
- 受入寄附金総額の70%以上を特定非営利活動に充当する要件について、直前2事業年度の平均により算定する。
- 認定NPO法人の申請書の添付書類及び各事業年度の報告書類を簡素化。
- 所得税の寄附金控除の控除対象限度額を総所得金額等の30%(現行25%)に引き上げ
5.その他
- 中小企業・ベンチャー支援
エンジェル税制のうち、株式譲渡益の圧縮措置(2分の1に軽減)の適用期限を2年延長する。
- 地方税制
- 65歳以上の個人住民税の非課税措置の廃止
年齢65歳以上の者のうち前年の合計所得金額が125万円以下のものに対する個人住民税の非課税措置を廃止する。
平成18年度分以後の個人住民税について適用する。ただし、経過措置として、平成18年度分については所得割及び均等割の税額の3分の2を減額し、平成19年分については所得割及び均等割の税額の3分の1を減額する措置を講ずる。
- フリーターやパートなど短期就労者への個人住民税課税強化
就労期間が一年に満たず、課税漏れとなっている短期就労者からの徴税を強化するため、特別徴収義務のある給与支払者は、その給与支払者から給与の支払を受けている者が退職した場合には、退職した日の属する年の翌年1月31日までに、退職者に係る給与支払報告書を作成し、これを退職時における住所所在の市町村に提出する。ただし、退職した年にその給与支払者から支払を受けた給与の金額が30万円以下である者に係る給与支払報告書は、提出しないことができる。
(注)上記の改正は、平成18年1月1日以後に退職した者について適用する。
- 法人事業税の分割基準の見直し
非製造業について、課税標準の2分の1を事業所数により、2分の1を従業者数により関係都道府県に分割する。
(注)上記の改正は、平成17年度以後に開始する事業年度から適用する。
- 企業再生の円滑化を図るための税制措置
迅速な企業再生を支援する観点から、民事再生法等の法的整理に加え、これに準ずる一定の要件を満たす私的整理において債務免除が行われた際、評価損の損金算入及び期限切れ欠損金の優先利用を認める。
- 社会保険料控除
国民年金の保険料に係る社会保険料控除の適用について、当該保険料に支払をした旨を証する書類を、確定申告書に添付等をし、又は年末調整の際に提出等をしなければ控除されない。
(注)上記の改正は、平成17年分以後の所得税について適用する。
(株式会社ムトウ コンサルティング事業部 税理士 宮下)
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