◆ ◇ ◆ ポイント ◆ ◇ ◆
- 簡易課税制度を選択すると課税仕入れに係る消費税額は、課税売上に係る消費税額に事業ごとに決められたみなし仕入率を掛けて計算しますので、支払った消費税に関する記帳並びに帳簿と請求書等の保存の必要がなく事務の手数がかかりません。
- 反面、簡易課税制度では設備投資等で実際の支払消費税が多くても納付税額を減らしたり還付を受けたりできません。
- 医療業のみなし仕入率の事業区分は第5種事業ですが、この区分は個々の売上ごとに行いますので、病院の事業区分はすべて第5種というわけではありません。
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1.本則課税と簡易課税のメリット・デメリット
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本則課税 |
簡易課税 |
メ リ ッ ト |
課税売上げに係る消費税額から課税仕入れ等に係る消費税額を控除して計算するので、設備投資等をした場合のように支払った消費税が多い場合、還付を受けることができます。 |
簡易課税は支払った消費税額を、受け取った消費税額にみなし仕入率を乗じて計算するため、仕入控除税額計算等の事務負担がかかりません。 |
デ メ リ ッ ト |
仕入税額控除の対象となる取引を整理、区分して帳簿に記帳し、支払った消費税を証する帳簿及び請求書等の両方を保存しなければならないので事務の手数がかかります。 |
設備投資等をした場合のように支払った消費税が多くてもそれを控除できず、納付税額を減らしたり、還付を受けることができません。 |
実際の選択に当たっては、原則課税と簡易課税の両方の試算結果に事務負担を加味して慎重に判断する必要があります。また、いったん簡易課税制度を選択すると、最低2年間は適用を継続しなければなりませんので、このことも選択にあたっては十分考慮しなければなりません。
2.みなし仕入率
| 事業区分 |
事業内容 |
みなし仕入率 |
| 第1種事業 |
卸売業 |
90% |
| 第2種事業 |
小売業 |
80% |
| 第3種事業 |
製造業、建設業、農林漁業、鉱業、電気業、ガス業、水道業 |
70% |
| 第4種事業 |
飲食業、金融業、保険業 |
60% |
| 第5種事業 |
不動産業、運輸・通信業、サービス業(飲食店業を除く) |
50% |
医療業は第5種事業に該当しますが、業種区分は個々の取引ごとに判定しますので病院の売上はすべて第5種事業というわけではありません。例えば、健康診断、診断書作成料、差額ベッド代などは第5種になりますが、事業用固定資産の売却は第4種、売店等での物品販売は第2種となりますので、取引を事業の種類ごとに区分して記帳することが必要です。
3.病院建物改築の場合の原則課税と簡易課税の消費税額比較
大きな設備投資をした場合の原則課税と簡易課税の納付税額の差異を、下記の設例によりみてみました。 これによると、簡易課税制度による消費税等納付税額が原則課税より30万円多くなっています(この設例で病院の設備投資がなければ、簡易課税の方が逆に30万円少なくなって有利になりますが)。このように簡易課税制度においては、控除対象仕入税額を売上に対する消費税額にみなし仕入率を掛けて計算する仕組みであるため、設備投資等によって多額の消費税を支払っても考慮されませんので、設備投資等があると原則課税より不利になります。
| ◎設例 |
| 社会保険収入 |
8,000万円 |
| 自由診療収入 |
2,100万円 |
| 病院の改築 |
6,300万円 |
| 薬品、医療材料、経費等の課税仕入れ |
2,100万円 |
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- A. 原則課税、一括比例配分方式の場合
- 課税標準額・・・2,000万円(自由診療収入 2,100万円×100÷105)
- 売上に対する消費税・・・80万円(課税標準額×4%)
- 仕入控除税額・・・64万円(課税仕入に係る消費税額×課税売上割合)
・課税仕入に係る消費税額・・・(6,300万円+2,100万円)×4÷105=320万円
・課税売上割合・・・2,000万円÷(8,000万円+2,000万円)=20%
- 消費税額・・・16万円(売上に対する消費税−仕入控除税額)
- 地方消費税額・・・4万円(消費税額×25%)
- 納付税額・・・20万円(消費税額+地方消費税額)
- B. 簡易課税制度の場合
- 課税標準額・・・2,000万円(自由診療収入 2,100万円×100÷105)
- 売上に対する消費税・・・80万円(課税標準額×4%)
- 仕入控除税額・・・40万円(売上に対する消費税×みなし仕入率50%)
- 消費税額・・・40万円(売上に対する消費税−仕入控除税額)
- 地方消費税額・・・10万円(消費税額×25%)
- 納付税額・・・50万円(消費税額+地方消費税額)
- 改正消費税法により新たに平成17年度課税事業者となる者の「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出は、経過措置により平成17年12月31日までとなっています。
(株式会社ムトウ コンサルティング事業部 税理士 宮下)
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